2021/05/12朱肉・インクについて②

「はんこ屋大将」にお越しいただきありがとうございます。前回より期間が空いてしまいましたが、今回は一般的にハンコで使われる朱肉・インク類の内、事務用品等に使われるインクについての話となります。

　印鑑用朱肉とは異なる性質を持つものについての話となりますので、4/28（水）「朱肉・インクについて①」の記事と併せて読まれることで性質の違いについてわかりやすくなると思います。

　普段の業務で使われる事務用スタンプ用やスタンプ台の中に充填されるインクですが、実は種類があることをご存じでしょうか？水性や油性の違いがあることが日常生活の中でお気づきの方が大多数だとは思います。インクは溶剤（色の分子を溶かしたり分散させるもの）によって「水性」と「油性」がありますが、ここからさらに「染料系」と「顔料系」に分かれます。この2種の特徴は、配合成分にもよりますが、基本的に「染料系」は鮮やかな色と紙以外の物体（ガラス・金属など）にも色を移すことができ、「顔料系」は滲みや色落ちが起きにくいという特徴を持ちます。これらを組み合わせは全部で「水性染料インク」「水性顔料インク」「油性染料インク」「油性顔料インク」の4種に分類されます。

各インクの性質は以下の通りです。

水性染料インク…水に染料（色素の分子が小さく溶剤の中に溶け込むもの）を混ぜたインクです。スタンプの他、水性ペンなどのインクにも使われています。色数の多さと発色の鮮やかさが特徴です。半面、耐水性はなく耐久性も弱いので、色落ちしやすいという特徴もあります。

水性顔料インク…水分中に顔料（分子の大きな色素）を添加剤を加えて分散させたものです。乾きにくいという一面がありますが、乾くと水に流れず色落ちしにくい他、和紙やノンカーボン紙でも滲んだり、文字が変化しないため、落款印や重要な契約書類の保存などで使われます。

油性染料インク…溶剤（天然油や有機溶剤）に染料を溶かしたインクです。一般的なスタンプ台の他、油性ボールペンなどでも使われます。染料なので紙以外にも色が付き、油性なので耐水性も併せ持ちます。

油性顔料インク…溶剤に顔料を加えたインクです。油性染料同様、スタンプ類で多く使われています。油性由来の耐水性に加え、顔料系の特徴を持つので、色の滲みや捺した後の変化に強いです。ただし、同じ分類の朱肉インクなど一部の製品には耐油性の低いもの（赤ゴム・プラスチックなど）を溶かす性質を持つものが存在しますので、その点を留意する必要があります。

　以上がスタンプや事務用品に使われるインクの性質と特徴についてです。そして最後にインクの性質で大事なことがもう一つあります。インクは必ず同じ成分のものでしか補充できないことです。別種のインクを混ぜるのは厳禁ですし、同じ「水性染料インク」でも使っている溶剤や成分が異なるので性質が異なることがあります。そのためスタンプと異なるメーカーのインクを補充するとキレイに発色しなくなったり、破損したりしてしまいます。必ずメーカー推奨の補充インクを使うことをお勧めします。

　これらの内容は、商品のパッケージや裏面に記載がありますので、購入の際に確認することでスタンプや作成した文書を長持ちさせたり、破損などを防ぐことができます。是非購入時の参考になれば幸いです。